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本嫌いな子供でもすんなり読める児童文学3選【小学校高学年向け】

思い出 レビュー(商品) 読書


「"読書"は良いものである」
というのは皆が持つ共通認識です。

しかし、なかなかそうもいかないものですよね。


僕も本が嫌いな性格で、いつも読書感想文は「あらすじ」が大部分を占めていました(笑)

でも、これから紹介する3冊だけは
マンガよりもずうっと心の奥深くに感じた思い出や風景が残っているのです。


夏の庭

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小学6年の夏、ぼくと山下、河辺の3人は、人が死ぬ瞬間を見てみたいという好奇心から、町外れに住むおじいさんを見張ることにする。一方、観察されていると気づいたおじいさんは、憤慨しつつもやがて少年たちの来訪を楽しみに待つようになる。ぎこちなく触れあいながら、少年達の悩みとおじいさんの寂しさは解けあい、忘れられないひと夏の友情が生まれる。

「死」の悲壮的な描写が印象深い作品

夏休みに出不精になったじっちゃんと夏休みを送る物語ですが、
この大きなテーマは「死」です。

はじめは「死の瞬間」を覗いてやろうという好奇心から始まったじっちゃんの監視ですが、
なぜか昼飯を一緒に食べたり、
壁のペンキを塗り替えたり、
戦争中に別れた恋人と再会させようとしたり・・・

最終的に彼らは深い絆で結ばれるようになります。

それでも「その時」は残酷にやってきて、
遺体のすぐそばに皆で食べようと4房のブドウが置かれてあったシーンは

やりきれない虚しさと悲しさが少年の心と重なり、泣けてしまいました。

兎の眼

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大学を出たばかりの新任教師・小谷芙美先生が受け持ったのは、学校では一言も口をきこうとしない一年生・鉄三。決して心を開かない鉄三に打ちのめされる小谷先生だったが、鉄三の祖父・バクじいさんや同僚の「教員ヤクザ」足立先生、そして学校の子どもたちとのふれ合いの中で、苦しみながらも鉄三と向き合おうと決意する。そして小谷先生は次第に、鉄三の中に隠された可能性の豊かさに気付いていくのだった…。

初めて読んだのは小学4年生の時でしたが、
今でも印象が強く焼き付いている作品です。

"ハエ"を飼っている鉄三のキャラと
処理場の煙でホコリにまみれた街の描写は、全体にくすんだ印象を与えました。

「正しい」と信じたことだけ行う小谷先生

その状況に何度もくじけそうになりながらも、
自分のやり方と正義を信じて担任を務める小谷先生の姿は
とても美しく、カッコよかった。

みな子ちゃんという知的障害児を学校に預けるとき、

「小谷先生は誰のためにみな子ちゃんにここまでやるのですか」
「わたしのためです。」
「おどろきましたわ。学校の先生は子どものために仕事をなさるのではありませんの」
「わたしは自分のために仕事をします。ほかの先生のことは知りません」

ここまで言い切れるような人に僕はなれるのだろうか?

幼心にそう思った記憶があります。

ニルスのふしぎな旅

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動物をいじめるのが好きで、誰も愛さず、誰にも好かれないニルス=ホルゲルソン。妖精トムテに小人にされたニルスがガチョウを取り押さえようとすると、ガチョウのモルテンは空高く飛び、老アッカ率いるガンの群れと一緒にスウェーデン中をまわる冒険の旅へ。一気に、しかも、やすやすと物語の世界へ子どもたちを連れ込むストーリーテリングに、改めて感動...。

この物語はスウェーデン文学の権威ともいえるもので、
著者のラーゲルレーヴは後にノーベル文学賞を受賞します。

小人に変えられた少年ニルスの成長はもちろん、
スウェーデンの民俗や自然が細かく解説されています。
なので、これを読んだらスウェーデン博士になれるでしょう。

ふしぎな力で吸い込まれる物語

それにしてもこの物語が持つ力はすごい。
どのページから読んでも、不思議な引力に吸い込まれる感じ。


それはニルスと動物が時に協力し、時に争う生々しい姿を通して
よくある「ほのぼの」系の動物モノと違った
飾り気ない自然を描写しているからだと思います。

19世紀からあった自然破壊への警告

また「ニルスの不思議な旅」は
人間が忘れてしまった自然への畏怖や尊敬の感情を説きました。
物語の終盤でパートナーの雁「アッカ」が

『あんたがわたしの生活でなにかよいことをおぼえたとしたらだね、人間はこの世の中に自分たちだけで暮らしているのだと思ってはいけないと考えるだろうね。』

と語ったのは、
当時の産業革命による環境汚染への批判と自然保護の重要性を
ラーゲルレーヴ自身が言いたかったのだと解釈しています。


そして驚くべきなのが、この本が編纂されたのは1858年だということ。

当時、世界の大勢が富国強兵による重工業の発展に尽力をしていた中で
それに伴う環境破壊に警鐘を鳴らしたことは彼女だけではなく、スウェーデンの誇りだと思います。


良書は活字の億劫さを超える

以上にあげた3冊は、本が嫌いで嫌いで
読書感想文すらロクに書けなかった僕が読めた、数少ない児童文学です。

僕に読めたということは、他の子供でも読めるということです。
この3冊は僕の心に大きな影響を与え
10数年たった今でも物語を蘇らせ、感傷に浸ることができます。

ぜひ、あなたの大切な人やお子様に
かけがえのない「心の肥やし」を送ってやってください。



おわり